秋吉、30歳おひとりさま

平成生まれのオタク、日々の記録

TOVE, 感情の発露としてのダンス、個人としての親と子(DAY9)

もう1か月ぐらい前になりますが、映画「TOVE」を観に行きました。

klockworx-v.com

ムーミン」の原作者として知られる、フィンランドの作家トーベ・ヤンソンの半生をつづる。映画は1944年、戦時中のヘルシンキから始まる。爆撃でボロボロになった街。トーベはムーミンの世界を作るが、あくまで画家としてのキャリアを目指していた。一方プライベートでは、賑やかなパーティにも繰り出し、政治家アトスと舞台演出家ヴィヴィカにも出会い…

 

メインビジュアルでもトーベがダンスしていますが、彼女が自分の感情を迸らせるダンスシーンがこの映画には何回か出てきます。私はこのダンスシーンが、ただの感情表現以上に訴えかけてくるように思えました。

誰かと楽しくさながらインド映画のごとくスウィングしながら心と心を通わせて…、時にはムシャクシャする気持ちが抑えられなくて…。その日の自分のエネルギーを発散するのに音楽に頼る気持ちに共感しました。

画家が自分の生きる道だと思ってキャンバスに向かうとき、また少しずつ形にしていったムーミンの世界観のアイデアの構想を練るときに、自分の創造性とじっくり向き合うことになるけれど、そもそもの創造の源になる「自由への欲求」みたいなものの発露が、ダンスだったのかなとも思いました。そういうのって、大人になるとコントロールしがちだけども。

 

また、芸術家としての父と娘の関係も、当時のトーベにとって複雑な感情が渦巻いていたことが映画でしっかり描かれます。

個人的に、会社員というものを経験したことがない家庭で育った中で、親をひとつのロールモデルとして目標にしながらも、今後のキャリアについて話すのは躊躇われて、自分自身の葛藤もあって、みたいなところにすごく自分を重ねてしまい、多分他の人とは違うところでボロボロ泣いてしまいました。

育ての親ではあっても、芸術に携わる同士としてお互いを認識したいと娘は思っている空気感…みたいなのが、すごく伝わってきました。

 

ちなみに関東圏に住んでいる方でこの映画が気に入ったら、飯能のムーミンバレーパークに行かれることをおすすめします。建物やアトラクションは少なめですが、その分湖畔の静かな雰囲気が残されていておすすめです。

 

(DAY9 最近泣いたこと)